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塩尻・百人一首大会が30回に 短歌の里で毎年開催

30回の節目を迎える短歌の里百人一首大会(昨年の会場)

 塩尻市広丘原新田の塩尻短歌館などで、毎年開かれている「短歌の里百人一首大会」が、2月2日に行われる次回で30回目となる。「近代短歌のふるさと」を自負する地域で、短歌に親しむ機会をつくろうと平成8(1996)年に始まった。大会名や実施方法の変遷、新型コロナウイルス禍がありながらも回を重ねてきた。

 初回は「塩尻短歌館かるた大会」として行われた。まき散らした札を取り合うちらし取りだけで、後に加わり、現在は大会の軸となった本格的な競技かるたの部はなかった。パンフレットには、大会長を務めた三沢光広市長(当時)の「親睦を深め、楽しい大会にしていただきたい」との言葉がある。
 記録は断片的にしか残っていないが、初回は130人が参加した。県内各地から毎回数十人から100人前後が参加し、近年も平成31年は100人が集まった。昨年の参加者は45人だった。連絡が取れなくなっていた団体から「今年はやらないのか」と問い合わせがあったり、久しぶりに参加する高校があったりと、恒例の大会として認知されている。
 コロナ禍で中止された令和3年と4年を経て、開催方法を改革した。「塩尻市の大会であること」を意識し、ちらし取りの部と競技かるたの部の会場を分けた。規模をコンパクトにしており、昨年は出場申し込みが少なく、大会の区分けだと技量の差が大きくなり過ぎる競技かるたの部の有段者の階級を廃止した。
 競技かるたの緊張感を味わうことができる経験の場として定着している。主管団体の一つの塩尻短歌館の勝野雅文館長は「今後も長く続いてほしい。日本の伝統文化である百人一首に、多くの人に親しんでもらえれば」と話している。