2025.1.13 みすず野
かるた遊びは小正月はもちろん寒中休みまで許されていた。その後は母が、次の正月休みにまた出してあげるからといってどこかに収めた。最も楽しんだのは昔からある「いろは(犬棒)がるた」でそのうちの読み札を、いくつか暗記してしまうほど興じた◆その中に意味がわからないものが何枚かあった。一つが「盗人の昼寝」。絵札は大きな風呂敷包みにもたれて昔ながらの泥棒が眠っている様子が描かれている。子供心に、泥棒をして油断をするとつかまってしまうという意味だろうかと思っていた◆ずっとそのままにしていたが本当の意味を知りたくなって『明鏡ことわざ成句使い方辞典』(大修館書店)を引いてみた。「何をするにもそれ相応の理由や思惑があることのたとえ」とある。なるほど。「『盗人の昼寝も当てがある』の意で盗人が夜の稼ぎに備えて昼寝をすることからいう」と続く◆この辞典が面白いのはさらに「今は昼夜を問わずだが、昔の泥棒は夜勤が多かったということだろう」とあることだ。「成人の日」が15日ではなくなって、小正月の風情は猛スピードで失われてしまった。つまらないことをしたものだ。