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安曇野市の駆除補助拡充が効果 ニホンジカ・カワウの捕獲数増加

 安曇野市が有害鳥獣のニホンジカ、カワウを捕獲した猟友会員に支払う補助金が、駆除推進に一定の効果を上げている。市内の東山山麓を中心に農作物被害をもたらすニホンジカの捕獲数は令和5年度170頭だったのに対し、補助金を設けた本年度はすでに250頭を超えた。市は意欲を持って捕獲に当たる動機付けになっているとみて、イノシシを対象とした捕獲補助金の新設も検討している。

 シカは1頭につき1万円、犀川周辺で漁業被害をもたらすカワウは1羽につき6000円(犀川漁協から別途2000円)の補助金が、捕獲者個人や猟友会支部に交付される。カワウ向けは昨年12月に新設し、昨年度の捕獲数は61羽で前年度比11羽増となった。
 有害鳥獣駆除の業務委託を受ける市猟友会の藤原英夫会長(76)によると、補助金交付を機に今まで取り組まなかった人が捕獲や狩猟免許取得に乗り出すケースが出ている。加えてシカの場合、3年度に20万円だった農作物被害額が5年度に79万6000円と4倍近くに増加。生息数の増加と、捕獲者の意欲向上が相まって駆除数が増えたとみられる。
 市の佐藤明利・農林部長は今月の市議会12月定例会代表質問で「支援拡充の効果が出ていると推察される。猟友会員が張り合いを持って駆除できる体制づくりを引き続き進める」と述べた。耕地林務課は、イノシシを捕獲した場合の補助要綱を年度内につくる方向で検討を進める。
 市は猟友会員の高齢化を受け、新規加入を促すため昨年度から狩猟免許取得費の全額補助も行っており、会員数は160人前後を維持している。