連載・特集

2024.12.21 みすず野

 不朽の名作『昆虫記』で知られるジャン・アンリ・ファーブル。『昆虫記』は、ファーブルがつぶさに観察した多くの昆虫の生態と彼自身の思い出が記されている。約30年かけて書き上げられ、全10巻からなる。ファーブルは1823年12月21日、フランスの小さな農村に生まれた。和暦だと、江戸後期の文政のころだ◆弊紙で毎週金曜日に連載中の「松本・安曇野の旬の自然観察」で案内人をしてくださっている中田信好さん、那須野雅好さん、丸山隆さん。地域の生き物や植物に向ける温かいまなざしや、その造詣の深さから松本平のファーブルと称するにふさわしい方たちだろう◆「~自然観察」には、毎回素晴らしい写真と簡潔明瞭な解説が載る。「こんな決定的な瞬間をどうやって撮ったんだろう」と驚かされる写真も多い。那須野さんが「動いている生き物のベストショットを撮らないと満足できなくなっている」と苦笑していたことを思い出す。向上心を持って手間暇を惜しまず捉えた1枚なのだ◆連載を通して現在の自然環境に警鐘を鳴らすことがしばしばある。ファーブルたちの言葉を受け止め、環境保護に目を向けたい。