政治・経済

松本市の市有施設にチップボイラー 脱炭素推進で導入検討

木質チップと、それを燃料にするボイラー

 松本市は再生可能エネルギーの活用と放置された間伐材を有効活用するため、市有施設に木片を燃料とするチップボイラーの導入を検討している。原油価格が高騰する中、価格変動の影響を受けないチップボイラーの導入を促す好機と捉え、地域資源を活用して温室効果ガス削減を目指す。

 9日の市議会12月定例会一般質問で、中島昌子氏(政友会)の質問に羽田野雅司環境エネルギー部長が答えた。
 市は令和10年3月の開業を予定する新市立病院に、給湯用として100キロワット出力のチップボイラー1基を導入する予定で、他の市有施設は設備更新が近づいている施設を中心に検討する。松本地域で脱炭素活動を推進するための産学官連携組織「松本平ゼロカーボン・コンソーシアム」の会員企業にも、導入を働きかけていく。
 ただ、チップボイラーの導入を拡大するには安定した燃料供給体制の確立と、熱需要先の確保の二つの課題がある。事業者が安定して燃料を供給するには、経営上、一定の取り扱い量が必要なため、市有施設では限界があり、民間施設にも導入を拡大する必要がある。チップボイラーを導入する場合、24時間連続して一定以上の出力で燃焼しなければならず、チップを保管する施設や自動供給する設備を設置できるスペースがある施設に限られる。
 このため、導入の前に調査を実施する必要があるが、現状では調査に対する国や県の補助制度がない。羽田野部長は「県に対し、調査に対する補助を要望するとともに、市独自の支援策の検討を進めたい」と答えた。