山雅、きょう昇格プレーオフ決勝に挑む ベテラン・橋内「地域のために」思い深く

サッカー松本山雅FCは昇格プレーオフ決勝の7日、富山県総合運動公園陸上競技場(富山市)でカターレ富山と戦う。最後のJ2切符を懸け、リーグ戦の3、4位同士がぶつかる。
両チームの今季の対戦成績は1勝1敗。松本山雅は第11節のホーム戦は3―1で飾り、敵地に乗り込んだ第25節は0―3で屈した。特にアウェー戦は3季連続で黒星を喫しており、鬼門のスタジアムとなっている。
松本山雅は4シーズンぶり、富山は11季ぶりのJ2を目指す。決戦は午後2時キックオフ。
応援してくれる人のために、この地域のために昇格する―。
シーズンの最終戦を前に選手が共通して抱く思いだが、濃淡は比較できるものでない。それぞれの意識が強くなったと感じる中でも「自分と他の選手は絶対に一緒ではない。僕のは誰よりも強い」と力を込める橋内優也。共に見た、かつての景色を再び手に入れるチャンスに並々ならぬ闘志を燃やす。
加入から8季を過ごし、客席からの無償の愛情を誰よりも浴びて力に変えてきた。過去に所属したクラブのファン・サポーターとは毛色の違うここ独特の温かさを引き合いに、折に触れて「何かを返したい」と口にしてきた大ベテラン。在籍年数に比例するように深まった心情が、冒頭の言葉の根底にある。
プロ生活は19年を数え、知見と経験に裏打ちされた安定感はチーム内でも一日の長がある。だが今季始動時のセンターバック陣での序列は、下から数えた方が早かった。
そんな立ち位置からのスタートでも練習では集中力を保ち、体を張り、誰よりも声を出した。性分もあるのだろうが、こと守備に関しては緩さや妥協を許さず。雰囲気を締める存在感にはチームメートも感嘆する。出場機会の有無にかかわらず、シーズンを通して変わらない態度であるべき姿を示し続ける。
同世代の盟友が続々とスパイクを脱いだようにキャリアは晩年だろうが、注がれた愛情にピッチでの活躍で報いることができる立場にある。「このサポーターを上に連れて行きたいし、若い選手には(J1、J2時代に)自分が感じられたことを経験してほしい」。3季追い続けた舞台への扉を開く鍵を手に入れるまであと1勝。大仕事をやり遂げる覚悟で決戦へと向かう。