連載・特集

2024.12.19 みすず野

 結成45周年を迎えたトランペットやトロンボーン、サクソホンなど12人編成のバンド「吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ」が先月発表した9枚目のアルバムに「誰もいないのか」という曲がある。「ファミレスでロボットが/飯を持ってきた/何故か俺になついて/目の前から離れない」。使い方がわからないと◆居酒屋の注文、アプリで呼んだタクシー。誰も来ない、応答しない。「これからは人には頼れない/自分らで何とかやってくしかなーい」と歌う。結成当時、大学生だったメンバーは白髪が目立つ。寄席番組の大喜利では、セルフレジの回答が受けている◆飲食店でも、注文はタッチパネルでというところがある。昼食を取ろうと知らずに入ると慌てる。セルフレジは、企業ごとに微妙に使い方が異なる。動作を止めると、同じことを繰り返して言う。周囲の視線が集まるのを背中に感じる◆鳴り物入りで登場する政策、効率をアピールする大型計画、経済効果を訴えるプラン。そういったものはまず疑う。前から見ただけではわからない。後ろ、上、下、斜めから確かめる。それにしても、ついて行くのは大変だなあ。