2024.12.14 みすず野
新暦だと1月末、決まって大雪の未明と描かれる。事件を扱った創作物語の名称は「忠臣蔵」。のちに赤穂浪士と呼ばれる旧赤穂藩士たちが主君の遺恨を晴らすべく吉良邸に侵入、吉良上野介を討ちとった。旧藩士たちは、上野介の首を元主君・浅野内匠頭の墓前に供えた。その後、討ち入りを幕府に報告、命を受け切腹した◆歴史的には赤穂事件と呼ばれ、当時の暦で江戸中期の元禄15年12月14日に起きた。創作物語は、古くは人形浄瑠璃や歌舞伎の演目で、現代でもドラマや映画で取り上げられている。長く題材となるのは、日本人が大事にしてきた忠義の精神が物語に見られるのも、大きな理由ではないだろうか◆今年、映画「身代わり忠臣蔵」が公開された。登場人物こそ赤穂事件に倣う部分が多いが、ストーリーは史実と大きく異なる。コミカルに描かれているのはユーモアや軽薄が好まれがちな、今どき風といっていいだろう◆エンターテインメントの世界は、世相を反映するのが常だ。だから軽いものが好まれれば、そちらに傾斜しても仕方ない。実社会ではどうか。重厚な忠義の精神が疎まれるような世の中は御免被りたい。