松本パルコ後利用に不安の声も 閉店まで3カ月、公式情報9月以降なく
松本パルコ(松本市中央1)が閉店する来年2月末まで、あと3カ月となった。パルコの後利用を巡っては、臥雲義尚市長が9月の市議会一般質問の答弁で、民間企業による商業施設としての運営計画があることを明らかにした。ただ、この発言以降、後利用に関する公式情報の発表はない。閉店が目前に迫る中、周辺で商店などを営む人やテナントからは先行きへの不安や戸惑いの声も聞かれる。
パルコから東に約60メートル。多くの商店やオフィスビルが立ち並ぶ本町(中央2)で電器店を営む松本商店街連盟の山田善敬会長(74)は「仮に空きビルになってしまえば中心街の求心力が低下し、つまらない街になってしまう」と危機感を募らせる。後利用についての情報は「11月に入ってぱったり止まった」といい「閉店まで"秒読み段階"なのに具体的な話がなく、周辺の店舗も不安に思っている」と漏らした。
パルコに入居するテナントの経営者は、平成29(2017)年にイオンモール松本(中央4)が開店したことで「街の状況が一変し、駅前商圏が弱くなってしまった」と話す。新たな商業施設については「本当にできるのか」と半信半疑で、パルコ閉店を機に別の商業施設へ移ることも検討しているという。
商業施設としての再スタートは実現できるのか。茅野不動産鑑定(島立)の代表で、地価や路線価の評価員を務める茅野武弘不動産鑑定士(56)によると、パルコ周辺は「繁華性、収益性においてピカイチの場所」で、今年1月時点の公示地価は市内の商業地で2番目に高かった。一方、全国的に大型化の潮流にある商業施設において、パルコの建物は"中途半端"な大きさで「家族で1日楽しむには物足りず、採算の合う使い方が思いつかない」と指摘。「大型モールに勝てる中身がなければ、これまでの繰り返しになる」と厳しい見方を示した。
パルコ運営会社の担当者は市民タイムスの取材に対し、民間企業との協議は続いているとしながらも「現時点でお伝えできることはない」と話した。