連載・特集

2024.11.22 みすず野

 おとといの朝、小社の窓から正面に見える西側の山の上半分がきれいに白くなっていた。いよいよ冬景色の日々だと思ったが、昨日の朝、きれいに消えて、紅葉で色付いた晩秋の山に戻っていた。きょうは二十四節気の小雪◆朝夕はコートがほしい気温になってきた。自転車通学は、手袋がないとつらい季節だ。小学校の行き帰りに「てぶくろの反対はなあんだ」と友だちにきかれ、逆さまに言うと6回たたかれた。公園や通学路などに、片方だけの手袋が木の枝やフェンスにあるのを見かけるのもこれから◆「むさしのの空真青なる落葉かな」(水原秋桜子)。「平仮名表記が武蔵野の空の青さをとてもやさしく、ふくよかに感じさせる。この落葉、関東に多いケヤキだろうか」と、俳人の坪内稔典さんは解説する(『ねんてんさんの名句百選』(潮新書)◆落ち葉の掃除は大変だが、その風情をたっぷりと楽しみたい、掃除の手間より落ち葉が大事と考えたいと著者はいう。そう考えることに「ゆとりと品位があると思うのだが」と。「むさしの」を「あづみの」に変えても楽しめるかなとちょっと考える。そんな空が昨日は広がっていた。