政治・経済

切実な課題政治に託す 有権者1票への思い

 衆議院議員選挙の投票が27日に行われた。「政治とカネ」の問題が争点となった一方で、長野2区(松本市、安曇野市、東筑摩郡など)と同4区(塩尻市、木曽郡など)の有権者は身近に感じている切実な課題の解決につながることを願い、一票を投じた。
 福祉施設で看護師を務める松本市穴沢(四賀地区)の長岩廣子さん(75)は「介護分野はこれからさらに人手が必要となる。人材育成や賃金などを充実させて」と改善を期待した。年金生活の武重慧さん(86)=木祖村薮原=は「物価高がとにかくつらい。年金頼みの高齢者の暮らしを救う方策を」と訴え、政治に与野党伯仲による緊張感を求めた。
 フルタイムで働きながら、小学校1年生の女児を育てる会社員の宮本すずかさん(38)=塩尻市宗賀=は「8時間働き、帰宅して2~3時間で家事をこなす状況。6~7時間働けばまともに暮らせる社会であってほしい」と所得増につながる変革を願った。
 高額の不妊治療を受けて2人の子供を授かった看護師の藤原綾奈さん(42)=同市大門三番町=は、人口減少が課題となる中で「不妊治療は無料でやってもいいのではないか。医師や技師の育成も必要」と話した。
 農家の荒芝裕一さん(58)=安曇野市穂高有明=は「農業は非常に厳しい状況にある。食料自給率も低いが、農業所得が低い。戸別所得補償制度に注目している」と述べた。
 産業廃棄物運搬業の会社社長・清水克貴さん(56)=松本市大手2=は「大企業は業績が好調と聞くが、中小企業まで波及していない。社会保障などの改革を通した政治の力で、まんべんなく潤うようにしてほしい」と経済政策の充実を求めた。
 松本市街地でホテルを経営する小林篤史さん(40)=同市新村=は「観光客は順調に戻ってきているが、上高地の駐車場や渋滞問題に見られるように、オーバーツーリズムという新たな課題がある。道路環境をはじめとするインフラ整備に力を入れて」と語った。
 松本市の梓川地区まちづくり協議会で事務局を務める青木弓枝さん(45)=同市梓川倭=は「交通空白地域の解消は高齢化が顕著な地方の重要な課題だと思う」と公共交通施策の充実を願った。
 合気道教室を開く下嵜英一郎さん(68)=安曇野市豊科高家=は厳しさが増す安全保障環境を指摘し、「外交は好き嫌いではなく、何かあった時に首脳同士で対話できる懐の深さが大事。国連改革などで日本が言うべきことは言うべき」と求めた。