【本紙でコラム執筆 農学博士・菊池隼人さん】地元の森 研究の原点に 「頑張るチャンス」もらった

市民タイムスの毎週日曜日付の紙面「こどもタイムス」で、コラム「翔べ!ムササビくん」を執筆している、塩尻市出身の農学博士で、琉球大学博士研究員の菊池隼人さん(30)=沖縄県=が今月、塩尻へ帰省中に市民タイムスの取材に応じた。子供の頃にムササビの研究に打ち込んだ県林業総合センター(塩尻市片丘)を訪れ、当時の活動の様子や、コラムに寄せる思いを語った。
―十数年ぶりに林業センターで森を見た感想は。
いろいろな人が代わる代わる巣箱を掛けていると思った。世代を超えるくらい長い間、多くの人が巣箱を通して生き物との触れ合いを楽しんでいる。公共の場、特に楽しむ場、学習の場としての森林が維持管理されているのは素晴らしいと思う。
―当時の活動は。
林業センターの先生(職員)と一緒に、日の入りから2時間くらい観察した。例えば、何を食べているかを調べた。毎月、毎週、森の中を見て回って、ミズキの実など食べ落とされた物を数えた。
―研究を続けられた秘けつは。
物知りの先生に、調べる方法や頑張れるチャンスをいっぱいもらった。生き物を直接見られなくても、研究に興味が出るきっかけになった。
―今、大学での研究内容は。
希少なケナガネズミなど、木の上にすむネズミやリスの仲間の生態を調べている。
―コラムは、子供たちの進路選択の参考になるような視点で書かれている。
こんな生き方、進む道もあるんだなと思ってもらえたら。自分がムササビの研究ができたのは、先生や家族の支援をたっぷりちょうだいしたから。協力してくれる人、手を差し伸べてくれる人が周りにいることを知ってほしい。
菊池隼人氏(きくち・はやと) 塩尻市広丘野村出身。小学生の頃に動物の観察を始め、丘中学校・田川高校時代はムササビを対象に自由研究を行い、県学生科学賞で3年連続で県知事賞を受けた。現在は琉球大学でさまざまな動物の研究をしている。