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読書発電所 運転100年祝う 南木曽の宝 次代へ継承 記念行事や施設見学

運転開始から100周年を迎えた読書発電所

 南木曽町の関西電力・読書発電所で11日、運転開始から100周年を迎えたことを記念する行事が開かれた。同社社員や国、県、町の関係者ら約50人が出席し、節目を祝い次代へ事業を継続していく決意を確認した。

 読書発電所は大正12(1923)年12月に運転を始めた。電力王と呼ばれた実業家・福沢桃介が木曽川に5番目に造った水力発電所で、当時日本一の発電出力(4万700㌔㍗)を誇った。ダムでためた水を水路で導き、落差を利用し発電する「ダム水路式」で、現在は設備増設により11万9000㌔㍗を出力。年間発電量は約6億2000万㌔㍗時で、一般家庭20万世帯分を賄える計算になる。
 半円形の窓など、アールデコ調を意識した施設デザインも特長だ。平成6(1994)年には水路などと合わせ、稼働中の発電設備として初めて国重要文化財(近代化遺産)に指定された。
 記念行事では神事を営み、通常は無人で入れない施設内の見学をした。関西電力再生可能エネルギー事業本部の多田隆司本部長は地域などの支えに感謝し、脱炭素化の動きが進む中で「水力発電の注目は高まっている。後世にしっかり受け継いでいきたい」と話した。向井裕明・南木曽町長は「地域にとって大切な文化財でありシンボル。住民一同で引き続き応援し、愛していきたい」と述べた。