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高ボッチ高原のケルン消える 塩尻市が石積み自粛呼び掛け

ケルンを作らないように呼び掛ける掲示物

 塩尻市郊外の高ボッチ山(1664.9メートル)の山頂周辺に広がる展望台で、目立っていたケルン(石積み)が見られなくなった。市がこの夏、石を積まないよう呼び掛ける掲示物を現地に出した。石を動かすことで、生態系に悪影響が出たり、土壌が浸食されたりといった悪影響を、市自然保護ボランティアが指摘していた。

 ケルンには、記念碑や道標といった意味合いがある。高ボッチ高原では、一帯を散策する人たちが積んだとみられるものが少なくとも数十個はあり、大きいものでは高さ50センチほどにもなっていた。
 自然保護ボランティアからの指摘を受け、市の担当者が現地を訪ねるたびに状況を確かめていた。8月にはすでにあったケルンを崩した。「高ボッチ高原の豊かな自然環境を守るため御協力をお願いします」と、ケルンを作らないよう呼び掛けるA3判の掲示物を3カ所に掲げた。
 一帯は八ケ岳中信高原国定公園内で、土石の移動などの際は許可が必要になる。市はケルンを崩すなどの行為を、県と相談しながら進めてきた。市の担当者は「ケルンはなくなったとみている」と話す。
 市自然保護ボランティアは一帯で活動しており、代表世話人・大川恒子さん(77)=塩尻市片丘=によると、ケルンは数年前から目立つようになった。生態系への影響のほか、石を動かすことで、土壌が何にも覆われていない裸地が増えることを懸念する。
 大川さんは掲示物について「効果が大きい。ここで石を積むのは良くないと認識されるようになった」とみている。一方で、「一時は完全になくなったケルンが、また積まれる兆しも見受けられる」とも話し、よりしっかりした掲示物を掲げることを望んでいる。