仲間作りの場が再出発 梓川・福祉施設の「おたっしゃカフェ」
松本市梓川倭の介護老人福祉施設サルビアで隔月開催される「おたっしゃカフェ」が本年度、4年ぶりに再開した。認知症への理解を深め、誰もが気軽に、安心して集える場として平成28(2016)年に"開店"。新型コロナウイルス禍で休止していたが、学び合いや支え合い、仲間づくりの場として再出発した。世界アルツハイマー月間の9月には、物忘れのある人も無い人も一緒に活動する「チームオレンジまつもと」も宣言し、一層の継続を確認した。
開催は奇数月の第4金曜日。開店時間が近づくと、地域住民や施設利用者が次々と集まってくる。お茶を飲みながら、おしゃべりや歌、学び合いや情報交換を楽しむひととき。運営するのは地域ボランティアスタッフだ。
9月のカフェでは「認知症サポーターステップアップ講座」を開催し、約30人が若年性認知症の男性や支援者の話を聞いた。発症後は物忘れが多くなるなどするものの「周囲の迷惑になるからと引きこもれば全てが止まってしまう。『よろしく』と他者に任せることも大切」と支援コーディネーターの伝田景光さん。市内の男性当事者は「これからも毎日を楽しく笑顔で生きたい」と語り、参加者からは「前向きな姿に励まされた」などの声が上がっていた。
高齢化社会を見据え、認知症の当事者や家族、支援者や地域住民らが分け隔てなく集う「オレンジカフェ」の一環で始まった。何度も参加している近くの女性(90)は「ここに来ると仲間がいてお話しできて楽しい」と話す。介護福祉士で担当職員の西澤守隆さんは「継続の中で誤った認知症観が解消され、悩み事も打ち明けられる仲間づくりにつながれば」と話していた。
「チームオレンジまつもと」は共生の地域づくり推進を図る市の事業で、おたっしゃカフェは9月27日に宣言した。