連載・特集

2024.10.27 みすず野

 インフルエンザの予防接種を受けに、医院を訪れていたときのこと。シーズン入りを教えてくれるように、相応の数の人がいた。待合室で結構な時間がすぎると、隣に座っていた70代くらいの男性が話しかけてきた。「選挙の情勢はどんな感じなんだろうね?」◆筆者が新聞社に勤務していることは知るよしもないから、暇つぶしに雑談しようと思ったのだろう。筆者が何かしゃべるよりも、人生の先輩の話を伺ったほうが情報収集にもなると思い「どんな感じなんでしょうね」と尋ね返した。すると、ニヤッとして「講話」が始まった◆「物価高を何とかしてくれないとまず駄目だね」「福祉にもこれまで以上に関心を持ってもらわないと」。男性の注文は次から次へと続いた。きっと多くの人が思っていることを代弁しているに相違ない◆接種の順番が来て名前が呼ばれた。男性に一礼して席を立ちながら聞いた。「意中の人は決まっているんですか」。男性は「とにかく仕事をやってくれそうな人に入れたい。信じるしかない」と言って口を一文字に結んだ。皆さんは、どんな基準で1票を投じますか。きょう衆議院議員選挙の投票日。