2024.10.24 みすず野
「この一行に逢いにきた」を標語に、27日から第78回読書週間が始まる。戦後間もない昭和22(1947)年から「読書で平和な文化国家をつくろう」と、出版社、取次会社、書店、公共図書館などが加わって始まり、翌年の第2回から「文化の日」を中心とした2週間行われてきた◆第68、69代内閣総理大臣の大平正芳は無類の読書好きだった。孫の渡邊満子さんは「私が今もふと思い出すのは、休日の昼下がり、自宅の居間でゆったりと本を紐解く祖父の姿だ」と『増補版大平正芳理念と外交』(服部龍二著、文春学藝ライブラリー)の解説で書く◆生前最後の正月に本棚を整理しながら「『死ぬまでにあと何冊、本が読めるかなあ...』とつぶやく岳父に、傍らにいた秘書にして私の父である森田一は返す言葉が見つからなかったという」と振り返る◆姿が見えないと必ず書店にいた。総理就任後も変わらず、警護官が必死に捜索する騒動が起きたこともあったとか。27日は衆院選挙の投票日。大平が語ったとされる政治とは「明日枯れる花にも水をあげること」という言葉を近ごろよく目にする。今の政治にそれが足りないからだろうか。