御嶽噴火災害から10年 火山防災、復興 誓い新た 王滝村で犠牲者追悼式

犠牲者の芳名碑の前で、慰霊碑や災害当時に履いていた登山靴など故人ゆかりの品を供えて祈りをささげる遺族たち

 死者・行方不明者63人を出した平成26(2014)年の御嶽山噴火災害から丸10年となった27日、犠牲者追悼式が王滝村松原スポーツ公園で開かれた。遺族や地元関係者ら70人が、噴火が発生した午前11時52分に黙とうをささげ、雲の向こうに隠れた御嶽山を仰ぎながら花を手向けた。10年の節目に、二度と犠牲者を出さないよう火山防災に取り組み続ける誓いを新たにした。

 王滝村と木曽町が主催した。実行委員長の木曽町の原久仁男町長は、これまでに取り組んだ安全対策を振り返り「人命の安全を第一に考え、火山防災対策にまい進していくことを固く誓う」と式辞を述べた。阿部守一知事は追悼の辞で、火山防災対策の充実強化を進めるとともに「木曽地域が噴火災害から本格的に復興を遂げることができるよう取り組みたい」と決意した。
 「私の自慢のお父さん、私を育ててくれてありがとう」。父・貞憲さん=当時(47)=を災害で亡くした小学校教師・松井登輝也さん(27)=神戸市=が遺族を代表して、声を震わせながら言葉を寄せた。貞憲さんとの思い出を交え「自分が教える子供たちに同じ思いをしてほしくない。父の思いを、私が生きた教科書として伝え、災害の教訓を伝承していくことが今後の使命だ」と述べた。
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 11年目以降の慰霊のあり方について報道陣の取材に対し、原久仁男町長は「これからもずっと開催していくつもりでいる」といい、王滝村の越原道廣村長は「災害を風化させないという意味でも毎年実行したい」と意向を示した。