地域の話題

8年開業の朝日村の診療所 運営担う小山医師が抱負

地域医療の担い手としての思いを語る小山氏

 朝日村が令和8年4月の開業を目指す公設民営の医療機関「あさひ診療所(仮称)」の運営を担う開業医に、松本協立病院副院長の小山崇氏(52)=松本市寿北5=が決まった。開業後は診療所(古見)隣に建てる住宅に定住し、地域医療を支える。村での開業医を選んだ動機や診療所の運営方針を聞いた。

 ―村での開業を選んだ動機は。
 医師として25年間各地の病院で勤務し、診療、研究、地域包括ケアシステム構築などさまざまな仕事に携わった。新たなチャレンジとして数年前から開業を検討していたところ、村で開業医を募集していると知った。塩尻市で生まれ、塩尻と松本市で暮らした自分にとってふるさとの地域だと思っている。高齢化や将来的な無医村問題に直面している村に赴くことが使命だと感じる。
 ―診療所の運営方針は。
 地域に根差して村民の健康と福祉を支え、地域医療の向上に寄与し続ける。研究してきた医療DX・医療のICT化を生かしてデジタルヘルスケアを推進し予防医療の充実を図る。東日本大震災では秋田県の災害派遣医療チーム(DMAT)で活動、新型コロナウイルス禍では発熱外来を担当した経験を生かし、危機管理医療の体制も強化したい。25年間ずっと臨床現場に携わる豊富な経験と培った技術を村のために役立てたい。
 ―デジタルヘルスケア推進の具体的な取り組みは。
 診療や検診などで村民の健康状態のデータを収集・分析し、一人一人に最適化された医療の提供や健康づくりの介入を行うことで村に求められる医療を提供する。このループを回していくことで、村全体の健康水準や健康意識の底上げにつなげたい。人口約4000人の規模は地域全体をまんべんなく継続的に把握できる。
 ―地域医療が担う役割は。
 地域医療の充実は安心で住みやすい村づくりに貢献できる。健康目標の達成を地域全体で共有・支援する世界のモデルになるような地域医療ができると思うし、それが人口維持や人口増にもつながると考える。