妻の遺志つなぐサロン 松本市神田1の田島郁男さんが憩いの場運営

松本市神田1の田島郁男さん(83)は、昨年末に79歳で急逝した元民生児童委員の妻・伊織さんが力を注いでいた地元の集いの場「おしゃべりサロン居寄庵」の運営を引き継ぎ、妻の仲間とともに奮闘している。ボランティア活動など人に尽くすことをライフワークとしていた妻の思いを尊重し、こだわりもそのままに住民らに楽しいひとときを提供している。
サロンは6年ほど前に、伊織さんが有志の協力で立ち上げた。毎月第2金曜日に神田公民館で開催する。必ず自宅の庭で摘んだ花を飾り、気に入った豆でコーヒーを入れるほか、特別支援学校の生徒が作るパンを購入してお茶請けにするなど、心地よく過ごせる環境づくりや社会貢献につなげることに心を砕いていたという。
伊織さんは昨年12月のサロンを最後に、年末に急激に体調が悪化して亡くなった。妻を手伝いながら一生懸命な姿に触れてきた田島さんが「やめてしまっては残念だろう」と思っていたところに、仲間から継続の希望が寄せられ、代表に就いて妻のこだわりを踏襲している。
8月は休んだため、13日は2カ月ぶりの開催となり、楽しみにしていた約20人が参加した。運営に携わる田内五代さん(79)と上條三枝子さん(75)は「伊織さんの功績で自慢できるサロン。田島さんも奥さんの遺志をそのまま継いでいてすごい」と話していた。
田島さんは町会の支援や送迎ボランティアを含む有志の協力に感謝し、「続けてきた妻は大したもの。これも供養になると思い、彼女の精神をつないでできる限り続けたい」と穏やかに語った。