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汚泥肥料実用化へ手応え 南安曇農高と長野県が実証実験 米の収量化成肥料並み

刈り取った稲を脱穀する生徒たち

 下水処理の過程で出る汚泥を肥料として活用する実証実験を共同で進める南安曇農業高校(安曇野市豊科)と県犀川安曇野流域下水道事務所(豊科田沢)は13日、堀金烏川の同校第2農場でコシヒカリを収穫した。汚泥肥料は化成肥料並みの効果をあげ、関係者は「実用化へ前進した」と手応えを感じていた。

 同校によると肥料は世界的に価格高騰しており、農業経営を圧迫している。このため、下水汚泥の活用が全国的に注目されている。
 同校生物工学科微生物活用コースの3年生11人が、作業に当たった。汚泥肥料、化成肥料の量など条件の違う5区画(各1アール)でコシヒカリを育て、刈り取った稲を脱穀して米の収量を比べた。
 結果は①汚泥肥料200キロ→米の収量82.7キロ②汚泥肥料73→同60.0キロ③汚泥肥料73キロ+化成肥料→同44.6キロ④肥料なし→同44.6⑤化成肥料のみ→同81.2キロ。一番収量が多かったのは①汚泥肥料200キロの区画で、僅差で⑤化成肥料の区画が続いた。
 同校は4年間のポットでの実験を経て、昨年から農場での実証実験に移った。3年生の中野幸太さん(18)は「家が米農家で、汚泥実験をやっていたから南農に入学した。3年間力を入れ、実用化の可能性が見えてきた」と話す。卒業後は生産者として同校の実験をサポートしていく。
 指導する今溝秀雄教諭(56)は「2年間の実証実験で汚泥肥料は、化成肥料並みの効果があると分かった。有害成分が残留していないか土壌分析を行い、さらに実用化へ近づけたい」と期待していた。