父・小澤征爾への愛あふれる松本に感謝 SKO代表の小澤征良さん語る

総監督の小澤征爾さんが2月に死去後、初めて迎えた国際音楽祭セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)が4日に閉幕する。サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)代表で、小澤さんの長女・小澤征良さん(52)に、世界的指揮者アンドリス・ネルソンスさんの突然の降板に見舞われた今年のOMFや40周年を迎えたSKO、父・征爾さんへの思いを聞いた。
父が東京、ボストンと長く時間を過ごしたところはあるが、中でも松本は特別。父の思い入れがほかの場所とは違って本当に強い。それを受け止めてくれる地元の方、ボランティアの方、スタッフがいて、みんな父とのいろんな思い出のかけらを持っている。「小澤さんにこう言ってもらって笑った」とか「隣同士に座った時にこんな話をした」とか、父への愛情、友情を日々感じる。皆さんに感謝している。
(ネルソンスさんの代役として、首席客演指揮者の沖澤のどかさんがタクトを振ったブラームスの交響曲第1番、第2番は)すごい音がして、歴史がつくられていると思った。父がSKOと始めた時、すごいことが起きていると肌で分かった。それに似ていた。沖澤さんはSKOと音楽家同士の信頼感を築いている。技術だけでなく人として深いところに根が張っていて、父に似ている。沖澤さんの音でありながら、父のブラームスの音もした。逆境の中でSKOはものすごいことを成し遂げられる人たちだとも実感した。
父から直接、指導、指揮されたことのない世代にも父の思いや熱さが継承されている。市民の音楽祭への思いも父がいなくなったことで簡単にはなくならない。波動のように伝達していくのがフェスの存在だと思う。