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災害時に井戸を使わせて! 松本市が新制度 個人・企業に登録呼び掛け

市が新たに始めた「災害時協力井戸」を示す標識

 松本市は2日、大規模災害で上下水道が使えなくなった場合に、近隣住民にトイレや洗濯のための生活用水を提供する「災害時協力井戸」の募集を始めた。井戸を所有する市内約550の個人と企業に協力を呼び掛けて事前に登録する制度で、普段から標識を掲示してPRする。

 登録には、生活用水として使用できる水質であることや災害時に無償で提供できること、標識を掲示できることなどが条件で、市がホームページなどに所有者の氏名や位置を示した地図を掲載して周知する。井戸の所在地のみの公表もできる。
 元日に発生した能登半島地震では、2カ月以上にわたって広範囲で断水が続き、生活用水の確保が大きな課題となった。水道管の復旧に時間がかかる中、井戸を活用してしのいだ例が各地で報告され注目が集まった。
 標識の製作費用などとして市は、本年度一般会計予算(6月補正)に20万円を計上した。市危機管理課は「550のうち、最初は100ほどの井戸の登録を想定している。災害時の生活用水確保へ制度を周知していきたい」と話している。
 県内19市では佐久市と須坂市が同様の制度に取り組んでおり、中信地域では松本市が初めてとなる。