連載・特集

2024.9.27 みすず野

 戦争を体験した人々が年々少なくなっていくなかで、そのさまざまな体験を聞き取り語り継いでいこうと「戦後79年祈りの夏」の企画を、小紙の紙面で続けてきた。夏が終わっても変わることなく、引き続き取材を進めていく◆ライターでラジオパーソナリティーの武田砂鉄さんは、昨年発刊した『なんかいやな感じ』(講談社)で「一人の人間が実際に体験できることは限られている。だからこそ私たちは、本を読んだり映画を見たりしながら、他人の経験を知る。あるいは架空の物語に身を委ねる。情報量が一気に膨れ上がり、取捨選択しながら生き続けるしかない私たちは、極めて意識的でない限り、『世代が入れ替われば姿勢が変わる』という企みに屈してしまう」と指摘する◆体験していなくても語るという態度がなければ、歴史は後世に伝わらないと。来年は戦後80年。体験者でさえ忘れかけているかもしれないことを聞き出して語り継ぎたい◆きょう、自民党総裁選の投開票が行われる。事実上、次期首相が決まる。その座に着くのが誰なのかというより、新たなリーダーが首相として何をしようとするのか、そのことが肝心だ。