連載・特集

2024.9.12 みすず野

 米国の新聞「ワシントン・ポスト」の記者が、大統領の盗聴事件を暴く映画「大統領の陰謀」は、事件発覚から大統領辞任まで、2年間にわたり事件を追い続けた2人の実在の人物を俳優が演じている◆場数を踏んでいるカール・バーンスタインをダスティン・ホフマン、新人のボブ・ウッドワードはロバート・レッドフォードだ。担当記者だった二人は2年間、事件を追い続けた。『僕は珈琲』(光文社)で著者の片岡義男さんは「レッドフォードが演じるボブ・ウッドワードは左右の人さし指を使い、キーボードを見て、タイプライターをかなり早く打つトゥー・フィンガー・スタイルだ」という◆映画は昭和51(1976)年に公開された。まだパソコンがなかった時代。周りを見ても、左右の人さし指だけでキーボードを打っている記者はいない。熟練すれば早いのかもしれないが、何とも効率が悪そうだ◆手元を見ると、親指を除き、ほぼ左右4本ずつ指を使っている。キーボードを見続けなくても打てるが、特に努力しているわけでもない。入力するスピードより、記事にする速さの方が問われる。内容が何より重要なのはもちろんだ。