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松本市公設民営バス「ぐるっとまつもと」 QR・カード払い低迷

公設民営バスに設置されたQRコードとクレジットカードの読み取り機

 松本市の公設民営バス「ぐるっとまつもと」で、現金を使わないキャッシュレス決済の利用が伸びていない。市は昨年11月から、アルピコ交通が運行する公設民営バスでスマートフォンアプリ「チケットQR」を本格運用し、2月からリップルマーク付きのクレジットカードによるキャッシュレス決済も導入したが、6月末までの利用率は6・31%にとどまる。現金や回数券での利用に不便を感じていない人が多いことが背景にあると見られ、普及には時間がかかりそうだ。

 キャッシュレス決済を利用すると乗客は運賃の小銭を用意しなくてよく、バス運行会社は運賃の管理が容易になるメリットがある。市は利用者の乗降データを集めることができるため、路線やダイヤの検討に役立てられる。
 市は昨年度に事業費約5000万円を計上し、公設民営バスのキャッシュレス決済に着手した。うち半分は国の「デジタル田園都市国家構想交付金」を充てた。政府は令和7年度までにキャッシュレス決済比率40%を掲げているが、公設民営バスの決済率がかなり低い状況にある。
 市によると、地方では現金の信頼性が高く電子マネー決済が普及していないことや、アプリの存在が知られていないことなどが理由として考えられる。現行の運賃体系にキャッシュレス決済を導入した形のため、キャッシュレスの方が運賃が安くなる利点がないことも普及が進まない要因に挙げる。
 バス停やバスターミナルにキャッシュレス決済を宣伝するステッカーやチラシを掲示し、市公式動画投稿サイトでPRするなど周知に力を入れるも、直近の6月の利用率は7・77%と低い状況に変わりはない。
 市交通ネットワーク課の高頭康博課長は「キャッシュレス決済の方が安くなる運賃体系を検討したい。サービスの拡大に合わせてPRし、普及を目指したい」と話している。