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塩尻のワイン大卒業生 日本コンクールで金賞 1期生・稲垣雅洋さん

コンクールで金賞を受けたワインのボトルを手にする稲垣さん

 塩尻市北小野でワイナリー「いにしぇの里葡萄酒」を営む稲垣雅洋さん(46)が醸造した赤ワインが、日本ワインコンクール2024(実行委員会主催)で金賞に輝いた。稲垣さんは、ワイン産業に携わる人材を育成し、地域ブランドの強化を目指す塩尻市の講座「塩尻ワイン大学」の1期生で、同大学の卒業生が市内で開設したワイナリーとしては、初めて同コンクールで金賞を受けた。

 123点がエントリーした「国内改良等品種・赤」部門で金賞(6点)となった。受賞したワインは「いにしぇの里『Fluffy』マスカット・ベーリーA 2023」で、辛口で甘い香りが特徴である黒ブドウの品種「マスカット・ベーリーA」を使った。使用したブドウは市内の果樹栽培家・小松孔明さんが育てた。ワインはたるで半年間、熟成させた。稲垣さんは「2023(令和5)年は天候に恵まれた。糖度が高く、例年は強めに感じた酸味も落ち着き、バランスの良いワインに仕上がった」と説明する。
 今年の日本ワインコンクールでは、塩尻市内の老舗・大手ワイナリーも金賞を受けているが、市内の個人事業主としては唯一の受賞だ。「欧州系品種・赤」部門でも別のワインで銀賞を受けた。稲垣さんは「コンクールは客観的に評価していただける機会で、自分の立ち位置を確認できる。目標としていた日本で最高峰のコンクールの金賞は自信になる」と喜ぶ。
 稲垣さんは北小野出身で、調理師として東京都内でフランス料理や創作料理の店で働く中でワインに親しんだ。帰郷してワインバーを経営。ワイン大学でも学びを深め、ワイン用ブドウの栽培を始めた。
 平成29(2017)年にワイン特区を活用した市内初のワイナリーを開設。現在は妻の江里奈さんと夫婦でワイナリーの運営とブドウ栽培に専念する。醸造量は当初の2キロリットルから6キロリットル(昨年、ボトル換算で8000本)に拡大。40アールだったブドウ畑も70アールに増やし、赤、白計8種類を栽培する。今後は冷涼な土地で育てやすいブドウ「ピノ・ノワール」(赤)に注力したい考えで「北小野を一大産地にしたい。ワインもコンクールに出してみたい」と意欲を見せている。