2024.8.26 みすず野
可燃ごみを集積場所へ持って行くと、カラスがごみにかぶせた網の隙間にくちばしを突っ込み袋に穴を開けている。追い払うと面倒くさそうに近くの電柱に飛び移り早く立ち去れと言いたげに見下ろしている◆幕末から明治にかけて活躍した日本画家の河鍋暁斎は、明治14(1881)年、第2回内国勧業博覧会に1羽のカラスが木の枝にとまっている様子を描いた水墨画「枯木寒鴉図」を、100円という破格の値を付け出品した。米1升が10銭ほどの時代◆これを日本橋の老舗和菓子屋主人が言い値で買い、絵は大評判に。「あまりに高すぎるのではないかと非難された暁斎は、これは鴉の値段ではなく、長年の画技修業の価なのだと答えたという」(『モチーフで読む美術史』宮下規久朗著、ちくま文庫)◆昭和46(1971)年、ジャケットにカラスの顔を大きく描いたLPレコード「大烏が地球にやってきた日」が発売された。ストロベリー・パスというロックバンド。メンバーの成毛しげるさん、つのだひろさん、ゲストの江藤勲さんは超絶技巧で知られた。絵の印象は強烈だった。CD化されて、こちらの値段は千数百円だ。