政治・経済

南木曽町誌 追加編を発行 「補遺」と「現代」 リニアも記録

町誌の追加編(手前)と編さんに中心的に携わった遠山名誉館長

 南木曽町は、昭和57(1982)年に出した町誌の追加編を発行した。調査研究で新たに分かった町の歴史をまとめる「補遺」と、57年以降の町の動きを伝える「現代」の2冊からなる。編さんをしてきた町博物館は、地域の歩みを後世につなぐ資料となることを願う。

 補遺は縄文時代から平成の出来事まで18項目ある。平成6(1994)年に全国3番目の大きさの琥珀が出土した、縄文中~後期の遺跡・太田垣外遺跡(田立)の調査記録、博物館職員が研究した妻籠宿本陣の記録『妻籠宿本陣留記』から読み解く江戸時代の運用の様子などを記す。地域の神社の歴史も詳しく取り上げ、334㌻。
 「現代」は行政の動きやイベントなど住民生活、平成26(2014)年の梨子沢土石流災害を含む災害、町内でトンネル掘削工事が進むリニア中央新幹線など広く扱う。時代が近いからこそ、認識が固まりきっていない、個人情報の配慮がいるなどの苦労があったという。260㌻。
 どちらもカラーで、掲載する写真や図などを鮮やかに紹介する。文書の引用部分は背景に色をつけ見やすさを工夫した。3月に発行し、今夏から一般に販売を始めた。
 前回の発行から時間がたつ中、平成29(2017)年に話が持ち上がった。同館の遠山高志名誉館長を中心に、レイアウトも職員が担当した。遠山名誉館長は「1行でもその事柄に触れることで『歴史』として残る。数十年先、新たな町誌を作る際の土台となれば」と願う。
 57年の町誌の改訂版も含めたデータが入るDVDがついて、8000円。DVDのみは4000円で、南木曽会館で販売している。問い合わせは町教育委員会(電話0264・57・3335)へ。