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住民参加で防災公園造り 塩尻の北熊井 農業用ため池跡に

作業日に協力して芝生を張る住民たち

 塩尻市片丘北熊井にあった歴史のある農業用ため池・大沢ため池(通称・大沢の堤)の跡地で、北熊井区が防災公園を手づくりしている。住民が芝生を張ったり木を植えたりする作業を担っており、10月には完成する。災害時には避難場所と防災拠点になるほか、平時にはイベント会場や憩いの場所としても活用する。

 大沢の堤は耐震や維持管理の面で課題があり、令和2年に埋め立てが完了した。区内に跡地利用を検討する組織を発足させ、防災公園の設置を決めた。
 中野嘉之区長は「区内のほぼ全域が土砂災害警戒区域で、指定避難場所の公民館も警戒区域内にあることから、防災拠点として整備が望まれた。せっかくなので皆で造ろうということになった」と説明する。
 公園の土地約4500平方メートル委は区が所有している。芝生の広場と多目的エリアを配置。防災倉庫、災害時にかまどとなるベンチも設ける。事業費は1152万円で、県の地域発元気づくり支援金などを活用。整備後は災害時の指定緊急避難場所に指定される見込みだ。
 6月29日に1回目の整備作業があり、住民ら約60人が参加した。救護エリアにもなる扇形の場所に芝生を協力して運んで並べた。同エリアの外側には白と赤色の花が咲くシバザクラの苗も丁寧に植えて汗を流した。今後も高木やツツジを植えるなど2回の作業を行って仕上げる。11月4日には開所イベントとして防災訓練や避難訓練を実施する。
 公園の名称を住民から募っている。中野区長は「作業を通して区民のつながりが深まり、防災・減災意識も高まれば」と期待している。