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梓川が劇的サヨナラ勝ち 高校野球長野大会

梓川9回1死3塁から、上原の中犠飛でサヨナラの生還を果たした中西清(右)

 第106回全国高校野球選手権長野大会は9日、県内4会場で2回戦8試合を行った。中信勢は、梓川が富士見・箕輪進修に劇的なサヨナラ勝ちを収めた。塩尻志学館は地球環境に、松商学園は長野にそれぞれ快勝し、3回戦に駒を進めた。
 10日は2回戦の残り8試合があり、中信勢は5校が3回戦進出を目指す。松本美須々ケ丘と松本県ケ丘は初戦となる。

 1点を追う9回。先頭の神部颯汰(2年)が初球を捉え右越えの3塁打を放った。偶然にも、球場を覆っていた厚い雲の隙間から日の光が差し始めた。「野球の神様が見てくれている」。土井康司監督の言葉通り、梓川はここから劇的なサヨナラ勝ちを収める。
 中西清斗主将(3年)は、重圧を感じながら「なんとしても打つ」と強い気持ちでボールに食らいついた。ふらふらと上がった打球は外野と内野の間に落ちるラッキーな2塁打になり、試合を再び振り出しに戻した。
 1死3塁と好機を広げ、打席には高校から野球を始めた上原立土(同)が入った。野球が大好きで、3年間朝の自主練習を欠かさなかった。「今までの成果を出そう」。初球を力いっぱい振り抜くと、打球は中堅へ。3走の中西清は「ここしかない」とタッチアップし、頭から滑り込んだ。顔を上げるとチームメートの笑顔が待っていた。3年間で初めての光景だった。
 初心者も交えた11人のチーム。上原は「3年間公式戦で1度も勝てず、つらいことも多かった。勝利はスカッと気持ちいい」。最後の夏に報われた。