連載・特集

2024.7.28 みすず野

 ゲリラ豪雨という言葉が使われ始めたのはいつだっただろう。ネットをのぞいてみた。平成20(2008)年に新語・流行語大賞トップ10に選出されていた。正式な気象用語でないことも分かった。従来使われていた、にわか雨や集中豪雨、夕立といった言葉をマスメディアが代用する形となったという◆夕立という言葉の響きが子供のころ好きだった。暑い夏の日、夕方にざっと大粒の雨が降り、心地よい涼をもたらせてくれるイメージがあったからだ。夕立後の空気の爽やかさを今も覚えている。ゲリラ豪雨にそれはない◆ひとしきり降ってすぐ晴れるにわか雨を、通り雨ともいう。シンガー・ソングライターの宇多田ヒカルの曲に「真夏の通り雨」がある。メロディーや歌詞が胸に迫り、聴くといつも涙が湧く。6年前のライブで「真夏の通り雨」を歌い終えた彼女の目元に光るものがあるように見えた。作った本人も思い入れの強い曲なのかもしれない◆全国で毎年のように想定以上の災害をもたらすゲリラ豪雨が発生している。近年、天災は「忘れたころ」でなく「忘れる前」にやってくるといわれる。ひとごとにせず、備えよう。