連載・特集

2024.07.31 みすず野

 うれしいニュースは、会う人ごと、あいさつ代わりに話題にしたくなる。共有したニュースは、それを口にする誰をも幸せな思いにしてくれる。昨日の朝、そんな思いを大勢が抱いたのではないか◆パリ五輪女子柔道で塩尻市出身の出口クリスタさんが、金メダルを獲得した。世界ランキング1位の実力を、初めての五輪で発揮した。やはり五輪の舞台に立った妹の出口ケリーさんとともに、幼少期から塩尻市で育ち、広丘小、丘中、松商学園高で学んだ◆柔道は市内の長野誠心館道場で鍛えた。「中学1年生のときに、全中3位になったこと」が初の手応えで、自分も周りも驚いたと、市が4月に発行した移住者向け冊子で語っている。今月市内で開いた壮行会後の記者会見で「背中を追える存在がいることは、子供たちの成長につながる大事なこと。金メダルを取って、その役目を果たしたい」と話した◆大舞台で実現させた。かつて汗を流した同じ道場の畳の上で柔道に取り組む子供たちに、輝くメダルを見せてあげるのはいつだろう。偉大な、でも身近な憧れの先輩を目指して、稽古に熱が入るに違いない。おめでとう、クリスタさん。