戦中の書簡、平和考える 朝日美術館が収蔵作品展

朝日村の朝日美術館は23日まで、平和へのメッセージを感じる収蔵品の絵画や彫刻、戦時中に親子が交わした書簡を紹介する収蔵作品展「描くよろこび 平和へのメッセージ」を開いている。世界各地で争いが絶えない今を生きる私たちがあらためて平和を考える機会になることを願って企画した。来館者が平和へのメッセージを書けるコーナーを設け、寄せられたメッセージは館内で紹介している。
戦争体験をした作家が手掛けた作品や、過去に同館で展示会を開くなど村に縁がある作家の作品を中心に集めた。
東京都を拠点に活躍した彫刻家・松原松造(1903~2001)と妻の恭子が太平洋戦争末期、群馬県に疎開中だった8歳の長女・公子とやりとりした書簡は、直筆のはがき42点を展示。毎日のようにはがきや手紙を送り合い、両親からのはがきには娘を思う言葉と共に庭に咲く花々が美しく描かれている。終戦直前には、戦況の悪化で激しくなる東京の空襲の様子が記録され、空襲下も続く日々の生活が垣間見える。
広島市に原子爆弾が投下された昭和20(1945)年8月6日、爆心地近くの軍需工場で勤労奉仕中に被爆した画家・大村連(1930~2004)の作品は、被爆体験を象徴的に表現している。長年、被爆の事実を話すことなく過ごし、被爆体験を描くようになったのは40代になってからという。
安曇野市明科出身の画家・加々美豊の作品や、ボルネオで19歳で戦死した松本地域の青年が家族へ残した遺書(血書)なども並ぶ。
開館は午前9時~午後5時。