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小穴竹豊さんの遺作が街を彩る あづみ野祭りのポスター原画手掛け45年 市民から惜しむ声

小穴さんの遺作となった今年の「あづみ野祭り」のポスター

 来年からこのデザインが見られなくなるのは寂しい―。安曇野市豊科の中心街で毎年7月最終土曜日に行われている祭典「あづみ野祭り」のポスター原画を手掛けてきた小穴竹豊さん=安曇野市豊科南穂高=が5月に亡くなり、惜しむ声が広がっている。小穴さんの遺作となる人生最後のポスターが街のあちこちを彩っている。
 祭りは昭和55(1980)年に始まり、今年が節目の45回目になる。小穴さんは当初からポスター原画を手掛けてきた。今年の原画は大型連休明けに納品され、そのわずか5日後に病に倒れた。
 市商工会豊科商工会館内の実行委員会事務局は「祭りを盛り上げるデザインで、あづみ野祭りのイメージが定着している」と説明する。今年も300枚を印刷し、商店街を中心に張られている。
 小穴さんとは旧知の間柄で、小穴さんが豊科町議会議員だった際は応援もしてきたという、藤原理康実行委員長(75)は「亡くなる少し前に2回行き会ったが元気だった。びっくりした」と突然の訃報に驚く。絵で反戦を訴えてきた小穴さんの戦争体験に触れ「昔の日本を知る人が亡くなったのは残念。もっともっと話が聞きたかった」と惜しんだ。
 元豊科町長で前安曇野市副市長の村上広志さん(75)=豊科南穂高=は「名物男がまた一人亡くなってしまった」と悲しむ。小穴さんを含む訪問団が姉妹都市のオーストリア・クラムザッハを訪れた際、団体とはぐれてしまった小穴さんが単独で絵を描き続けていたという逸話を覚えている。「安らかに眠ってほしい」と願う。
 今年の祭りには35踊り連、約2400人が参加を予定する。