旧町名が語る城下町の歴史 松本でウオーキング講座開講

城下町の旧町名を訪ね歩き、歴史や文化に親しむウオーキング講座「松本の記録と記憶が甦る 城下町の散歩道」が19日、松本市街地で始まった。市内では昭和39(1964)年に始まった住居表示整備事業によって江戸時代~昭和初期の町名の多くが廃止されたが、一つ一つには歴史的な由来があることから、市民有志でつくる実行委員会が学びの機会として企画した。
市教育委員会が昭和60年代以降に設置した「旧町名碑」を訪ねながら、一帯の史跡や江戸時代の町割りの名残を巡る。案内人は市民タイムスで「トキタビ―まつもと時間旅行」を連載中のストリートフォトグラファー・村田正幸さん(75)。
初回は15人が北馬場町や片端町、下横田町を訪ねた。享保年間の松本城下絵図の複写も手に2~3キロを歩き、松本城の北門馬出しの名残を今に伝える変則の区画や、捨堀の残存土塁が築山として残る敷地、総堀の水を流す暗渠などを見て回った。わずか数十メートルおきに郷土の歴史との出合いや発見があり、参加者たちは「車で通り過ぎたら分からない」「歩いてこそ」と堪能した。
市内の須澤勲彦さん(82)は「旧町名にはそれぞれ大切な意味がある。継承することが歴史を残すことにもつながる」と話していた。
本年度は市街地の女鳥羽川以北を探訪エリアとし、11月までに5回開く。