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三九郎のわら 新年は自前で 波田の有志が米作り開始

昔ながらの方法で苗を植える参加者

 松本市波田で小正月の伝統行事・三九郎の継承に取り組む住民有志でつくる「3区三九郎会」(百瀬惣介会長)は19日、地区内の田んぼで田植えの体験会を開いた。三九郎で使用する稲わらの確保を目的に初めて企画し、地域の子供を含む15人が約10アールの田んぼに苗を植えた。

 参加者ははだしになって田んぼに入り、機械を使わない昔ながらの方法で、田んぼに張られたロープに沿って等間隔に苗を手で植えていった。会員の森田忍さん(43)が田んぼを提供し、地元の市議会議員も子供たちと一緒に苗を植えた。
 波田小学校4年生の清水侑珠さん(9)は「田んぼの水は冷たかったけど、きれいに苗を植えることができた。田んぼの中でカエルを見つけて驚いた」と話していた。近くの保育園に通う石坂蓮翔ちゃん(6)は「泥だらけになったけど、楽しかった」と喜んでいた。
 収穫にコンバインを使うことが多くなり、近年は三九郎で使用する長い稲わらが手に入りにくくなっている。9月下旬には手作業での稲刈り体験会を開き、収穫した米は参加者に配布する。
 百瀬会長は「稲わらが必要な三九郎が、田植えや稲刈りなど農業と密接な関係にあることを伝えたい。昔ながらの農業を見直すきっかけになればうれしい」と話していた。