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成長の滑りで世界を見据え アルペンスキーの前田知沙樹選手

2023~24シーズンの活動を終えた前田選手。全日本選手権の連覇など確かな成長の跡を刻んだ

 アルペンスキーの前田知沙樹選手(25)=村瀬組、塩尻市=が2023~24シーズンの活動を終えた。全日本選手権大会の連覇をはじめ地力の向上に手応えを得た一方で、成長の道標となる課題も明確に把握。「一つ階段を上がれた」と充実感を漂わせながらオフシーズンに向かう。

 シーズンのハイライトの一つは、女王の座を守ることが目標だった3月の全日本選手権。自ら驚くほどメンタルの状態が良く、身体的なコンディションも伴って女子回転で再び頂点に立った。
 脳裏にあったのは前回大会の優勝で沸いた周りの人の姿だという。また喜んでほしいとの思いが原動力で「スタートラインに立った時点で自信があった」。参戦したワールドカップ(W杯)で一線級の選手に挑む中で得た経験もいい方向に作用した。
 1月下旬までのシーズン前半は欧州でW杯を転戦。決勝レースの出走権を得る予選30位以内を目指した。
 望む結果は得られないながら、途中掲示のタイムが10番台を記録するレースもあるなど一定の手応えも。「考えに考えないと戦えない厳しい状況に身を置いたからこその気付きがあった」。それが国内に拠点を置いた後半につながり、大陸別選手権の一つ「ファーイーストカップ」で種目別タイトルも獲得した。
 強豪とのレースだけでなく、雪質の違いや変化に富むコースにももまれた経験が、競技者として大きな成長をもたらした。シーズンを振り返って「今まで以上に世界に挑戦したいとの思いが強くなった」と語る前田選手。レースのコース取りや欧州勢にひけを取らない体づくり―。技術、フィジカル両面の課題を整理しながら夏季の鍛錬に臨む。

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