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松本の鎖川右岸荒れ地が桜並木に変身 北耕地の住民有志が25年かけ植樹

発足当時から植樹に力を尽くす会員たち。美しく成長した桜に相好を崩す

 松本市今井の鎖川右岸で間もなく満開を迎える桜並木―。25年前に苗木5本を植えた地元北耕地の住民有志が「市場方桜守の会」を発足させ、こつこつと植樹を続けてきた。荒れ地だった場所は、今では300本の桜が咲き誇る名所に。13日は25周年祭があり、地元住民約100人が集い、美しく咲く桜をめでて節目を喜んだ。

 ソメイヨシノやシダレザクラなどさまざまな桜が河川敷を彩る。最初の5本のうち4本が健在で、それらを中心に南北800メートルにわたって桜並木が広がる。
 鎖川の大水被害からの復旧記念で植樹したのがきっかけだった。植樹の場所だけ整備したものの周囲はニセアカシアやイバラで荒れ放題。不法投棄もたびたびあった。「この地に桜を咲かせるのが夢」という村山誠仁さん(86)が三村一郎さん(85)と発起人となって会を結成。初代会長の村山光利さん(76)が市場方(現在の北耕地)の名称を付けた。
 ニセアカシアの伐採だけでも4年かかり、整備してもすぐに雑草やアカシアが伸びて桜の若木を覆った。誠仁さんは「とにかく必死でこんな日が来るとは思わなかった。仲間のおかげ」と感謝する。
 会員は30~80代の60人に増え、草刈りや枝打ち、ごみ拾いに汗を流す。3代目会長の三村幸一さん(65)は「地域の誇り。先輩の活動を中継ぎとして若い世代につなげたい」と力を込める。隣接する西耕地でも桜の植樹が進む。
 同日は地元の子供も招いて餅投げや植樹を行った。子供と参加した田中咲子さん(36)は「桜が増えていると知っていたけれど初めて皆さんの苦労を知った。地域の皆でこの風景を守っていきたい」と話していた。