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春の風物詩・托鉢行 5年ぶり復活

朝日を浴びながら、商店前で読経する僧侶たち

 松本平の春の風物詩、松本仏教和合会(会長=倉科利行・全久院住職)の托鉢行が今月、5年ぶりに再開された。各戸を訪問することから、平成31(2019)年を最後に新型コロナウイルス禍での実施を控えていたが、今春は4月の1カ月間をかけて、僧侶たちが松本市内のあちらこちらで読経を響かせる。

 同和合会には市内の約40カ寺が加盟。かつては20人の大所帯で托鉢をしたが、感染対策にも配慮しながら今年は住職や副住職らが10人前後で、平日午前に市内を回るという。

 2日は10人余の僧侶が中心市街地の今町や松栄町、六九、西堀、白板などを回った。奉賛会員の自宅や事務所前で木魚を鳴らしながら般若心経などを唱え、浄財を受け取っていた。

 1カ月間の訪問先はコロナ前の700軒強から約500軒に減ったが、5年ぶりとあって"再会"を喜ぶ声は少なくない。竹陽製菓(松本市大手1)の小林利恵さんは「子供のころからの恒例行事。なかった数年はどこか寂しかった。托鉢がやって来ると季節を感じますね」と目を細めていた。

 寄せられた浄財は5月4日に全久院で開く、お釈迦様の生誕行事「お花まつり」や、社会福祉事業に充てるほか、今年は能登半島地震の義援金としての活用も検討する。

 倉科会長は「待っていてくださった方が大勢いてわれわれとしてもうれしい。心を込めて回りたい」と話していた。