連載・特集

2024.3.24みすず野

 「天災は、忘れる前にやってくる」。地震や豪雨が頻発する近年は、「忘れたころ」から言葉が変わったようだ。どこで、どんな大災害に見舞われるか分からない。各地で起きている災害は、対岸の火事ではなく、こちら岸にいつ飛び火してきてもおかしくないのだ◆江戸時代の弘化4(1847)年3月24日(新暦だと5月8日)長野市内を震源とする善光寺地震が発生した。規模はマグニチュード7・4。「山崩れの土砂は犀川をせき止め、現在の安曇野市明科地区にまで達する長さ30キロメートル以上の湖ができた」(『日本大百科全書』小学館)。湖をつくっていた土砂は4月13日に決壊し、下流域は洪水に見舞われた◆揺れは松本平にも及んだ。松本藩筑摩郡庄内組の大庄屋(白板村)の記録によると、24日午後9時半ころ揺れ始め、断続的に4月末まで毎日のように揺れた。大変長期の地震に、松本の住民も不安な日々を過ごしたことを想像するに難くない◆松本藩は、村々に達しを出し、善光寺周辺で被害を受けた人たちが松本藩領に避難してきたら、親切に対応するように、としている。昔からある扶助の精神は脈々と受け継ぎたい。

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