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歌い継いで70年以上 勝弦青年の歌 口伝の曲を楽譜に

歌い継いできた「勝弦青年の歌」の譜面を持つ勝弦区の吉江区長(右)と企画担当の川上さん

 塩尻市北小野の勝弦区は本年度、70年以上前から区にある口伝の「勝弦青年の歌」を楽譜に起こした。戦後間もない当時の青年の熱い思いが歌詞に表現されており、後世に残そうと企画した。

 昭和22(1947)年に、10~20代を中心とした団体「勝弦青年団」の団員が作った。「開拓歴史百千代に」で始まる1番から5番まであり、「創れ生せよこの力 築くわれらの理想郷」と若者の心意気や四季の素晴らしさが歌われている。原曲は軍歌とみられるが、曲名は定かではない。
 同区には約100世帯があるが、若者の減少で平成初期に青年団が解散し、この歌を歌えるのは50代後半の住民だ。勝弦公民館に歌詞の額が掲示され、地元の東照宮例祭で配布するお守り札の裏に歌詞が印刷されているが、歌を聞いたことがない人も少なくないという。
 区運営委員会の企画担当・川上豊さん(63)が家族と旋律を転記し、地元の音楽家・田岡将平さん(35)が編曲に協力した。約50年前に歌詞額を書いた川上富九一さん(故人)は豊さんの父親で、歌詞額を依頼したのが当時の青年団長の吉江弘区長(71)だった。吉江区長は「口伝できたが譜面にすれば後の人も分かる」とし、川上さんも「勝弦の歴史の一つ」と語る。今後は、楽譜や歌から音源を残し公開披露も考えたいとしている。