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自作の電光掲示板を母校・菅野中野球部に寄贈 松本工高の荒江さんと瀧井さん

電光掲示板の上で手を重ねる(左から)荒江さん、瀧井さん、岩垂コーチ、荒江主将

 松本工業高校3年生の荒江翔陽さん(18)と、瀧井光晟さん(18)が27日、中学時代に所属した松本市の菅野中学校野球部に、半年がかりで自作した電光掲示板を贈呈した。同部では、外部コーチを務める会社員・岩垂佑哉さん(25)が松工生だった7年前、同じように自作のカウント表示器を贈っている。岩垂さんに野球の指導を受け、同じ松本工業に進んだ2人が、野球と、ものづくりへの思いをつないだ。 

 高校でも野球に打ち込んだ2人は、夏の大会が終わり部活動を引退した後、岩垂さんに電光掲示板の製作を依頼され、電気科の課題研究として取り組んだ。
 防じん防水機能を高めるため、何度も失敗しながら1ミリの狂いもない外枠を仕上げた。表示用の発光ダイオード(LED)は1724個を手作業で配置した。コンピュータープログラムも自分で構築した。夏の暑さを考え、排熱用の小型ファンも取り付けた。授業時間だけでは足りず放課後は毎日、時には休日も作業を重ねたといい、電気科の担当教諭・倉田真さん(45)は「自分の教員生活で、間違いなく最多の作業量」と情熱に舌を巻く。
 母校のグラウンドに機械を届け、後輩に操作方法を伝えた。荒江さんは「電光掲示板で手書きの手間が省けて、プレーや練習に集中できるはず」と期待し、瀧井さんは「自分も作ってみたいと、ものづくりに興味を持ってくれたら」と話した。荒江さんの弟で、菅野中野球部主将の荒江煌夢さん(14)は「すごい」。喜ぶ後輩たちの姿に2人も「頑張って良かった」と笑顔を見せた。
 岩垂さんは「野球を続け、工業高校で学んだことを生かすという両方で、つながった。ありがたい」と感慨深げだった。「この姿を見た中学生にまた思いがつながれば」と話していた。