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能登被災地 塩尻から支援 団体・企業の活動続々

「産地を支援したい」と義援金の箱を持つ木曽漆器工業協同組合の小林理事長(上)。給水タンクをトラックに積み込むアイバワークスの従業員(下)

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 能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市の漆器組合を支えようと、塩尻市の木曽漆器工業協同組合は9日から、組合員に呼び掛けて義援金を集めている。伝統工芸の漆器製造を担う同じ仲間として、産地復興に向け「全力で支援する」(同組合)考えだ。

 木曽漆器の組合員は102事業所あり、仕事始めの9日に三役が支援を決め各事業所に通知した。「一口1000円」とし、地場産業振興センター建物内の組合事務所で当面受ける。組合員でなくても善意を受け付ける。集まった義援金は輪島漆器商工業協同組合に届ける方針だ。
 小林広幸理事長(65)=木曽平沢=は「日本トップの漆器産地で輪島ファンもいる。職人が仕事を失い、伝統工芸が廃れるのは困る。なんとか踏ん張ってほしい」と話す。一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会によると、伝統工芸士の認定者は木曽漆器が23人に対し、輪島塗は78人いる。
 輪島塗には、珠洲市周辺で採れるケイ藻土が下地塗りで使われることから、材料確保も困難な状況が予測されるという。気候風土が異なるため難しい面もあるが、必要に応じて木曽平沢での臨時の工房や道具の提供などの対応も検討する。小林理事長は「現地で仕事を再開しやすい環境づくりを手助けしていく」とする。

 製造業のアイバワークス(塩尻市片丘)は、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市に、自社製の給水タンク17個を無償貸与する。10日、タンクを載せた中型トラック2台が同社を出発した。
 容量400リットル15個、同2000リットル2個を送った。400リットルタンクは軽トラックに積み込むことができる。
 かつて東日本大震災被災地の宮城県本吉郡南三陸町に貸与し、仮設住宅建設地に水道が通じるまで活用された物で、その後返却されていた。能登半島地震を受け、同社から輪島市に支援を打診し、協力依頼を受けた。
 相場計人会長は、現地で水道水の確保が困難なことを報道などで知り、タンクの無償貸与を考えた。「被災地の人々のためにお役に立てることがあれば」と思いを語った。

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