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猿「追い払い隊」活動広がる 結成半年 成果の兆しも 隊員1.5倍の91人に

受信機をかざして猿を探す隊員

 安曇野市が人里を荒らす猿を追い払うために始めた「ニホンザル追い払い隊」が、昨年8月の結成から間もなく半年になる。隊員は当初の63人から1・5倍の91人に増え、活動範囲も穂高地域から堀金・三郷地域まで広がった。結成の前後で猿の位置情報を比較すると、行動範囲が山側に移ってきているとみられる個体群もあり、成果につながるような傾向が見えている。

 隊員は公募に応じた市内外の住民で、非常勤公務員として報酬が支払われる。地域で猿の追い払いをするケースはあるが、自治体が取り組むのは全国的にも珍しいという。
 盆と年末年始の期間を除いて毎日活動しており、1班2~3人で午前と午後に2班ずつが日替わりで編成されている。8群・9個体の首輪に取り付けてある発信器で群れの位置が分かるシステムを活用し、見つけた群れに歩いて近づいて山側に追いやっている。
 昨年8~10月の活動で、それ以前と比べて猿の移動距離が伸びる傾向があることが分かった。追い払い活動により、里に滞在していた猿が移動を強いられた可能性がある。市耕地林務課は「効果があって喜ばしいとまでは言えないが、追い払いをやらないより、やる方がよいとの手応えを感じる」とする。
 西山山麓の人里に出没する猿は平成25(2013)年に11群約600匹が確認されており、耕地林務課は「現在はさらに増えているのでは」とみる。行動範囲が人里に広がっており、農作物を食い荒らしたり民家に入って食べ物をあさってふんをしたり、子供を威嚇したりといった被害が報告されている。
 穂高有明の石本武士さん(82)は、自宅周辺に毎日のように出没する猿に困って隊員になった。「(追い払い隊によって)出没回数が少なくなったという話も聞く。少しずつでも山の方に行ってもらえたら」と願う。
 市は、住民から通報を受けて緊急出動できる態勢も整えた。追い払い隊だけでは被害が減らないため、猟友会と連携して捕獲も強化していく方針だ。