政治・経済

太陽光許可制 松本市の責任重く 野立て条例案可決見通しに

市内の住宅地にある野立ての太陽光発電設備

 松本市が市議会12月定例会に提出した野立ての太陽光発電設備の設置に関する条例案の委員会審査が14日行われ、可決すべきと集約された。21日の本会議で可決・成立する見通し。来年4月以降届け出制から許可制になり、設置事業者に近隣住民への事前説明を義務付ける。ただ、住民同意までは求めないため乱開発への不安を持つ市民は少なくない。事業者の対応が適切かどうかをチェックする市の責任は重い。

 条例案については「説明会さえ開けば住民が反対しても設置できてしまうのでは」という懸念がある。13日は議員の一人が本会議の議案質疑で問いただしたほか、市民から否決や慎重審議を求める請願と陳情が計3件出された。
 市は説明会や意見聴取、市への報告など丁寧な手続きを事業者に義務付け、景観や自然環境への配慮や報告書の記載が適切かを、地元の町会長や意見者にも話を聞いて確認すると説明。反対意見があった場合について、環境・地域エネルギー課の鈴木博史課長は建設環境委員会で「許可基準のうちどの観点から反対しているか、事業者側の回答が各基準からみて妥当かを確認する」などと答えた。
 今後、許可区域に当たる農地や雑種地などに対し、条例施行前の「駆け込み申請」が相次ぐことも予想される。同委員会は請願、陳情をいずれも不採択と集約した一方、耕作しながら発電する営農型太陽光パネルがむやみに設置されないか心配する議員もいた。鈴木課長は「農業委員会や農政課に照会し、状況を把握した上で許可を判断する」とした。
 市は設置許可の判断に当たり、住民意見の見逃しがないか、強引に設置を進めていないかなどを慎重にチェックする役割が求められる。太陽光発電を巡っては、県条例も来年4月に施行される。

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