松本市職員 カスハラ対策で「安心」 担当部署設置1カ月 元警官らが庁内巡回

松本市が新部署「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策室」を設置して1カ月余りが経過した。職員がクレームや理不尽な言動にさらされることなく安心して働き、市民サービスの向上につなげるための「後方支援部署」の位置付けで、本庁舎1階の市民相談課隣に配置。元警察官の支援員と、元市職員の補助員の計2人が毎日、本庁舎と東庁舎内を巡回している。職員からは「安心」「心強い」などの声が寄せられている。
発足から13日までに窓口での長時間の居座り、大きな声を出すなどの案件で7回出動し、市庁舎等管理規則に基づき、閉庁間際になっても退去命令に従わなかった1件については、警察への通報を担当課にアドバイスした。また、出先機関の職員から寄せられた「上司がいない場合はどうすればよいか」などの相談にも対応。まずは「カスハラとは何か」と学ぶことが第一として、全職員向けの「カスハラ対策通信」の発行や、新任主査や課長を対象にした研修を通して周知にも力を入れている。
市議会などから「市民が萎縮する」との懸念が寄せられていることから、対策室はあくまで後方支援に徹し、各課での窓口対応の際にも前面に立つことはしない。市役所への外線通話の録音も近く始まるが、対策室長の塚田喜代志人事課長は「最大限配慮しながら進めていきたい」と慎重な姿勢をみせる。現在までのところ、対策室に対する市民からの苦情などは寄せられていないという。
来年度施行を目指しているカスハラ防止条例は、当初の職員のみを対象とする想定に加え、民間事業所を含めることも検討している。市議会12月定例会への骨子案提示を目指して産業振興部も交えて取り組みを進めている。