2025.5.14 みすず野
気温が上がると一気に暑くなるのは、5月中旬である証しだろうか。各地の田植えの様子が紙面に載った。畑が少しずつ緑色に彩られていく。この時期、草はぐんぐん伸びる。草を刈るエンジン音があちこちから聞こえるようになった◆冬を室内で越した鉢植えは、そろそろ外に出す頃。毎日の水やりが始まる。これに、小さな畑に植えた野菜類も加わる。早朝はその分忙しくなる。それでも、ちょっと張り合いにはなる◆活躍するのはじょうろ。大きさが異なるプラスチック製がいくつかある。できるだけ大きめのものを選んでいる。銅板や真ちゅうを用いた金属製は風情のある鉢植えなどにはぴったりだとは思うが、そんな鉢はないし、結構値も張る◆じょうろの語源はポルトガル語で、これに「如露」「如雨露」と字をあてたという。「露の如し、露の如き雨滴。日本古来の漢字の素養の深さがうかがわれる」(『水の道具誌』山口昌伴著、岩波新書)。水が出る細かな穴が並んだ口は「蓮口」と呼ぶそうだ。ハスの花が散ったあとに残るハスの実の上面に見立てている。ただじょうろによって呼び方は異なるとも。魅力たっぷりの道具だ。