連載・特集

2023.12.15 みすず野

 今週、出勤日に昼ご飯は何を食べたか問われても、間違いなくきちんと答えられる。どこで食べたかも覚えている。では夕飯は、と聞かれたら多分ほとんど忘れている。「働くオトナの昼ご飯」というサブタイトルで長く続くテレビ番組があるが、それだけお昼は大事なのだろう◆この間、時間のかかる仕事を控えていたので「力飯」のつもりで、そば店で天ざるを頼んだ。大いに満足してレジに行くとちょっと驚く値段。品書きを確かめていなかった。昼にうなぎなどはあまり食べない(ほぼ食べられない)が、それをちょっぴり安くしたような額だった◆作曲家の團伊玖磨さんはそばは1本1本が四角い断面を持ち、飲み下すときに食道を傷つけ、消化するまで胃の中を傷つけるという話を誰かから聞き「そばを食べる気にならなくなってしまった」(『舌の上の散歩道』小学館文庫)とか。そんなばかなことをと思うものの「食べれば食べられるという程度の存在」なのだと◆立ち食いそばもうまい店がある。冬は温かいそばが食欲をそそる。そう、大詰めは年越しそばが控えている。落語で「時そば」を聞くという楽しみもありますね。