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アルペンスキー女子の前田知沙樹選手 五輪出場に向け飛躍期す

充実感に包まれながら昨季を振り返る前田選手。新シーズンへ近く始動する

 アルペンスキー女子の前田知沙樹選手(26)=村瀬組、塩尻市峰原=が、早くも新シーズンに向け始動する。力のこもるまなざしで「次こそ、との思いが年々強まる。壁も超えられるはず」。開幕まで1年を切ったイタリアでの冬季五輪も視野に、昨季に得た好感触を確信に変えるよう鍛錬を重ねて欧州の舞台での飛躍を期す。

 技術向上を重視して精進し、滑りが変わった実感を持って臨んだ昨シーズン。「成長を感じたのと悔しさを覚えたのと五分五分」だったと振り返る。
 前半はワールドカップ(W杯)を中心に欧州を転戦した。レース中の転倒で脳しんとうを起こすアクシデントもありながら、後半は世界選手権に初出場。同じく初めて臨んだアジア大会は女子回転で表彰台の最も高い位置に立った。
 決勝に進む30位以内を狙ったW杯は望んだ結果を得られなかった。それでも目標に0・2秒差に迫る滑りで、過去最高の32位に付けたレースもあった。僅差が実力だと受け止めた一方で「殻を破れそうな手応えもあった」。強気の姿勢と無謀の間で葛藤しながら、斜面変化に対応できる余裕のあるライン取りが身に付きつつあるという。
 レース終了後も今月初旬まで県内スキー場で練習を継続。短いオフを挟み、18日に渡欧して約1カ月間の全日本合宿に参加する。例年は30日程度のシーズン前の雪上滑走日数を倍に増やし、「方向性が見えた」とする前向きな感覚を身体になじませながら世界を相手に戦う礎を固める。